Ubuntu13.04でpLaTeX+dvipdfmxからIPAexフォントを埋め込んだPDFを作成する
以前、Ubuntu 12.04 LTS で表題の件を記述しましたが その後インストールの仕組みからディレクトリの構成など変更がかなりありました。備忘録としてここに記述しておきます。
やること
Ubuntu 13.04 (Raring Ringtail) においてplatexコマンド、dvipdfmxコマンドを用いてIPAexフォントを埋め込んだPDFを作成します。無論、Linux Mint 15 (Olivia) でも同様の手順でインストールできるはずです。
ここでは目標の PDF を作成する手順のみ記述し、Texmaker (筆者が愛用) などの GUI 環境については言及しません。
パッケージインストール
$ sudo apt-get install texlive texlive-lang-cjk otf-ipaexfont
IPAexフォントの認識
$ sudo mkdir -p /usr/share/texlive/texmf/fonts/truetype/ $ cd /usr/share/texlive/texmf/fonts/truetype/ $ sudo ln -s /usr/share/fonts/opentype/ipaexfont-gothic/ipaexg.ttf $ sudo ln -s /usr/share/fonts/opentype/ipaexfont-mincho/ipaexm.ttf $ sudo mktexlsr
mapファイルの用意
以下のファイルを、どこでも良いので用意しておきます。例では ipaex.map として作成します。
rml-jis H ipaexm.ttf gbm-jis H ipaexg.ttf rml H :0:ipaexm.ttf gbm H :0:ipaexg.ttf rmlv V :0:ipaexm.ttf gbmv V :0:ipaexg.ttf otf-ujmr-h UniJIS-UTF16-H ipaexm.ttf otf-ujmr-v UniJIS-UTF16-V ipaexm.ttf otf-cjmr-h Identity-H ipaexm.ttf/AJ16 otf-cjmr-v Identity-V ipaexm.ttf/AJ16 hminr-h H ipaexm.ttf hminr-v V ipaexm.ttf otf-ujgr-h UniJIS-UTF16-H ipaexg.ttf otf-ujgr-v UniJIS-UTF16-V ipaexg.ttf otf-cjgr-h Identity-H ipaexg.ttf/AJ16 otf-cjgr-v Identity-V ipaexg.ttf/AJ16 hgothr-h H ipaexg.ttf hgothr-v V ipaexg.ttf unijmin-h UniJIS-UTF16-H ipaexm.ttf unijmin-v UniJIS-UTF16-V ipaexm.ttf unijgoth-h UniJIS-UTF16-H ipaexg.ttf unijgoth-v UniJIS-UTF16-V ipaexg.ttf cidmin-h Identity-H ipaexm.ttf/AJ16 cidmin-v Identity-V ipaexm.ttf/AJ16 cidgoth-h Identity-H ipaexg.ttf/AJ16 cidgoth-v Identity-V ipaexg.ttf/AJ16
実行
あとは実行するだけです。dvipdfmx では作成した map ファイルを指定してください。
platex test.tex dvipdfmx -f ipaex.map test.dvi
余談
以前、platex は EUC にしか対応していなかったため、わざわざ nkf を使って UTF-8 → EUC-JP に変換していました。最近のパッケージに同梱されている platex はめでたく UTF-8 に対応したようで、変換が不要になりました。
$ platex -version e-pTeX 3.1415926-p3.3-110825-2.4 (utf8.euc) (TeX Live 2012/Debian) kpathsea version 6.1.0 ptexenc 1.3.0 Copyright 2012 D.E. Knuth. There is NO warranty. Redistribution of this software is covered by the terms of both the e-pTeX copyright and the Lesser GNU General Public License. For more information about these matters, see the file named COPYING and the e-pTeX source. Primary author of e-pTeX: D.E. Knuth.
ただし、機種依存文字(例えば はしご高(髙)) は相変わらずそのまま埋め込んではくれません。この場合は前に記述した LaTeXで otf.sty を使いつつUTF-8でファイルを編集する で対処する必要があります。
余談 (その2)
奥村先生による jsarticle などの新ドキュメントクラスは okumura-clsfiles パッケージにて提供されていました。Ubuntu 12.10 より、okumura-clsfiles は仮想パッケージとなり、実体は texlive-lang-cjk パッケージに統合されました。以上のインストール手順で暗黙的にこれを利用できるようになっています。
また、otf.sty も自動的に導入されるようで、上記リンク先にある otf.sty のインストール作業は不要となりました。機種依存文字を使用したPDFの作成で、実質的に必要なのは utf8toutf のコンパイルのみとなりました。
utf8toutf は UTF-8 から EUC-JP (または SHIFT-JIS) に変換する作用も含まれていますが、最新の platex では元の tex ファイルとクラスファイルとで UTF-8 と EUC-JP が混在していても問題が無いようです(詳しくは未検証)。utf8toutf で得た中間ファイルを別途編集することがなければ、エンコードの変換も不必要と思われます。